「ビートルズに対するアメリカの回答」と言われたバーズの3rdアルバム『霧の5次元』です。バーズはフォークロックの旗手としてデビューし、やがてカントリーロックの先駆者となりますが、このアルバムは過渡期にあたり、そのサウンドや歌詞の内容からラーガロック、スペースロックと呼ばれました。過渡期だけあってアルバム全体のデキこそ散漫な印象を受けるものの、ここで聴けるサイケデリックなサウンドには唯一無二の魅力があります。
中心人物であるジム(ロジャー)・マッギンはこの時期ジョン・コルトレーンにハマっており、コルトレーンがサックスによって繰り出すようなモーダルなフレーズを、バーズサウンドの最大の特徴であるリッケンバッカーの12弦ギターによって奏で、名曲「霧の8マイル」や「I
SEE YOU」等、いくつかの曲においてすばらしい効果を上げています。
このように演奏面でも活躍の目立つマッギンがリーダーシップを発揮し過ぎて、この後ジーン・クラーク、デイヴィッド・クロスビーといった才能溢れるオリジナルメンバーが次々と脱退していきます。なんだかもったいない感じがしますが、それと入れ替わりにグラム・パーソンズらが入ってくるんだから、文句も言えませんね。
2003/08/14