[資料8−6 鑑  定  書 (1)

昭和42年11月 2日

※ 媒体の性質上、縦書きの文章を横書きに改め、漢数字を算用数字に、漢字表記の単位を記号表記に直しましたが、内容はほぼ原文通りです。なお、読み易さを考慮して、適宜スペースを設けてあります。


 昭和42年10月25日付鑑発第303号をもって、取手警察署長より警察本部長あて左記事項の鑑定依頼があったので、刑事部鑑識課においてつぎのように鑑定した。

1. 事  件  名

  強盗殺人被疑事件

2. 鑑 定 資 料

 (1) 毛髪(死体発見現場付近より採取のもの)  8本

 (2) 被害者の頭毛               若干

 (3)  〃 の陰毛                〃

3. 鑑 定 事 項

 資料(1)は人毛であるかどうか。人毛であれば、資料(2)、(3)に類似するかどうか。

4. 鑑 定 経 過

 資料(1)について肉眼的並びに顕微鏡的検査を行うに、いずれも人毛と認められ、資料(2)、(3)と比較対照するに左記結果を得た。

  

色  調

長  さ

毛 尖 部

毛 根 部

資料(2)(3)との比較対照

頭毛と認め
られるもの
   7本

黒色のもの6本

毛根部付近のみ
白色のもの  
     1本

1.6〜3.5p

いずれも横断
又はやや斜断
断面やや浅

脱落毛と思料
せられるもの
    6本

切断面を有す
るもの 1本

被害者の頭毛と認められ
るもの      1本

被害者の頭毛に類似する
もの       1本

被害者の頭毛に類似する
性質を有すると判定し得
られないもの   5本

陰毛と認め
られるもの
   1本

黒 色

3.9p

鈍 円

脱落毛と思料
せられる  

被害者の陰毛に類似する

5. 鑑     定

 資料(1)は、7本は人頭毛、1本は人陰毛と認められ、頭毛のうち1本は被害者の頭毛と認められ、1本は被害者の頭毛に類似していたが、他の5本は類似するものと判定し得られなかった。

 陰毛は、被害者の陰毛に類似するものと資料せられる。

  本鑑定は、昭和42年10月26日着手、同年11月2日終了した。

昭和42年11月2日      

 茨城県警察本部刑事部鑑識課  
 警察技師  浅野 日出男

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