GENESIS / WIND & WUTHERING

(1976)

 ピーター・ゲイブリエル脱退の危機を乗り越えた前作に続いて、4人体制のジェネシスが放った第2弾、『静寂の嵐』です。
 ピーターが在籍した初期や、ポップ化した後期の作品と比べると、この水墨画のようなタッチのジャケットデザイン(なんとヒプノシス)同様地味な印象を受けますが、ジェネシス史上最も叙情的なサウンドは充分魅力的です。
 曲ごとにクレジットが違い、トニーやマイク単独の曲があるかと思えば、フィル&トニー、ハケット&フィル、ハケット&マイクのように2人ずつペアを組み替えたりもしており、それがアルバム全体を変化に富んだものにしています。
 曲単位でイチオシはトニー作の「ONE FOR THE VINE」。アルバム中最も長いこの曲では、これぞジェネシスといった目まぐるしい展開を堪能できます。また、アナログ盤B面後半の「まどろみ〜静寂」からエンディング「AFTERGROW」へと続く流れのすばらしさは筆舌に尽くしがたいものがあります。
 しかし、残念ながら「BLOOD ON THE ROOFTOPS」のイントロで詩情溢れるクラシカルなギターを聴かせてくれたスティーヴ・ハケットが本作を最後に脱退、バンドは2度目の危機を迎えてしまいました。

2003/12/01


BACK