前作でついに商業的にも頂点を極め、スタジアム級のバンドとなったジェネシスが、各自のソロ活動を経て発表したこのアルバムは、堂々たる風格を感じさせる傑作です。
内容はフィル・コリンズがフロントマンを務めた時代の集大成といった趣で、様々なタイプの曲が収録されており、そのどれもが円熟のジェネシスサウンドです。当然のごとく前作に続いてこのアルバムからも続々とシングルヒットが生まれていますが、ラストにはちゃんと10分を越える大曲「FADING
LIGHTS」も収録されています。この曲はライヴにおいてサポートメンバーのチェスター・トンプソンもダリル・ステューマーも抜きの、まったく3人だけで演奏されます。始めリズムマシーンをバックに静かに歌っていたフィルが途中からドラムに座って叩きまくり、それに乗って雄大なトニー・バンクスのキーボードが浮遊し、さらにシャープなマイク・ラザフォードのギターカッティングがその空間を切り裂いていくインストゥルメンタルパートは何度聴いても鳥肌が立ちます。フィルが抜けてしまった今にして思えばこの曲は、フィル主導型のジェネシスが大団円を迎えるにふさわしいエンディングテーマだったんですね。曲名も歌詞もハマり過ぎです。
2002/10/05