ミッジ・ユーロをフロントに据えて以降、ニューロマの旗手〜華麗なる幻想の主役として数々のヒットを放った第二期ウルトラヴォックスの集大成です。
内容は、それまで本国イギリスでシングルカットされた14曲を完全収録した文字通りのベストアルバムで、エレクトロニクスを導入してヨーロピアンロマンを醸し出す手法によって彼らの人気を決定づけた名曲「VIENNA」をはじめ、いずれもチャートを席巻した必殺の名曲ばかり。冒頭を飾る「DANCING
WITH TEARS IN MY EYES」から得意の泣き節が全開です。
その中で異色なのは、このベスト盤と同時にリリースされた当時の最新シングル「恋はグレートアドヴェンチャー」。エレクトロニクスを用いた手法は変わらないものの、非常に明るく軽い曲調で、プロモーションヴィデオもヨーロピアンどころかスピルバーグの映画『レイダース』を彷彿とさせるものとなっていることから、新境地を開拓しようとする方向性が見られます。これは、ヒット連発とは言ってもあくまでイギリス本国のチャートに留まっていた彼らが、柄にもなくアメリカのチャートを意識したからだと思われますが、残念ながらそのもくろみは成功したとは言いがたい結果でした。
しかもこの後、オリジナルメンバーであるドラマーのウォーレン・カーンが脱退してしまい、しばし開店休業状態に…。まぁ、集大成を出して活動に一区切りをつけたバンドにありがちな流れですが。(苦笑)
2007/01/20