これ以前に『創世記』というアルバムこそあるものの、ジェネシスの本当の歴史はカリスマレーベルでのデビュー作であるこの『侵入』で幕を開けたと言えるでしょう。
このアルバムにはまだジェネシスの黄金期を支えるフィル・コリンズやスティーヴ・ハケットこそ参加していませんが、チャーターハウス時代からの仲間であるアンソニー・フィリップスが在籍しています。脱退後の彼のソロの諸作を聴けば分かるように、実はこの人は初期ジェネシスのサウンドの一つの特徴であるアコースティックな側面に大きく貢献していて、例えば「白い山」や「よどみ」のアレンジに漂う叙情的な雰囲気はアンソニーの味だと思います。
一方、ピーターは早くも圧倒的な存在感を発揮しており、彼のヴォーカルで始まる1曲目「何かを求めて」からいきなり幻想的なジェネシスの世界に突入します。さらにラストを飾る名曲「THE
KNIFE」ではエキセントリックかつアグレッシヴな面も充分発揮されています。
このように考えるとジェネシスはフィルやスティーヴを迎える前から既に個性を確立していたことになりますね。あとはピーターが例のかぶり物や着ぐるみを身に付ければ完成です。
2002/09/01