元ピンク・フロイドの中心人物ロジャー・ウォーターズのソロアルバム『ヒッチハイクの賛否両論』。これ以前にロン・ギーシンと組んだ特殊な内容のアルバムを出していますが、実質的にはこれが1stソロと言えるでしょう。
ロジャーはフロイド在籍時からトータルコンセプトアルバムという形態にこだわっていて、インタビューで「なぜコンセプトアルバムばかり作るのですか?」と聞かれた時、「それは小説家に『なぜ小説ばかり書くのですか?』と聞くようなものだ」と禅問答のような返答までしています(笑)。そんなわけで、このアルバムも収録された12曲のタイトルが「4:30
AM」〜「5:11 AM」となっており、時間の推移に即して内的トリップを描いたコンセプトアルバムだそうです。
そういったコンセプト面ではもちろんこれはこれで独立した内容のアルバムなんでしょうが、歌詞を気にせず聴くとサウンド的にはほとんどピンク・フロイドの『FINAL
CUT』と同じ。だからあの不当に評価が低かった『FINAL CUT』が結構好きな私としてはこれも全然OKです。
微妙な(?)違いを挙げるとすればギターがデイヴィッド・ギルモアでなくエリック・クラプトンであること。元々ギルモアもブルージーなフレーズを弾く人なので、それがクラプトンに変わったところでさして違和感はないものの、個人的にはギルモアのギターが恐竜の鳴き声のような音色で唸る瞬間がたまらないので、クラプトンでは流麗すぎるかな。
発売当時ジャケの女性のおしりが問題になって、そこだけ隠した修正を入れて出し直したような記憶があります。CDではまたモロ出しですが。
2005/04/21