キース・ジャレット(p)の数あるピアノソロアルバムの中でも屈指の名盤と言われているアルバムです。
まったく独りでピアノに対峙し、自身の中からわき上がってくるフレーズを延々と紡ぎ出していく行為を、一つのカテゴリーとして確立してしまった感のあるこの人の功績はあまりにも大きいものがあります。当然凡百のフォロワーのプレイとはまったく次元が違い、ただならぬ緊張感を伴った美しさは他者の追随を許しません。
思わず体を動かしたくなるようなスウィング感は皆無なので、これが果たしてジャズなのかという疑問もありますが、完全な即興演奏であるという点では紛れもなくジャズ。まぁ、そんなジャンルなどにこだわることがまったく無意味に思えるだけの別世界に誘ってくれる、美旋律のオンパレードです。
ときおり自ら感極まっておかしな声を漏らす自己陶酔型天才音楽家の奇跡のインプロヴィゼイション。
2005/12/15