KATE BUSH / THE DREAMING

(1982)

 ケイト・ブッシュという女性は、色気を通り越して危ない女性なので注意が必要です。特にこの4thアルバムでのエキセントリックさは、個人的には「女ピーター・ゲイブリエル」という印象があります。実際何度かピーターのアルバムにゲスト参加しては見事なコラボレイションを聴かせてくれているので、本人たちも何か通ずるものを感じているのではないでしょうか。
 このアルバムについてよく話題に上るのは、驚異の72トラック録音だということ。しかも、うち36トラックをヴォーカルに割いているというのだから驚きです。5オクターヴともいわれる声域をフルに使った多重録音による本人のコーラスはもちろん、よく聴き込むほどに聞こてくる叫び声やうめき声の数々が、このアルバムにただならぬ緊張感をもたらしています。その上、そんなゲテ物をちゃんとポップとして成立させてしまっているのだから奇跡としかいいようがありません。もちろん多分にエキセントリックなポップではありますが…。

2000/09/15


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