ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレイターのリーダー、ピーター・ハミルのソロアルバムです。バンド時代から変わらぬ饒舌な詩人ぶりと、80年代的なソリッドなサウンドが融合された傑作です。
まず、何と言ってもピーターのヴォーカルが圧倒的です。けしてテクニックで勝負するタイプではないんですが、この人の歌い方を聴いていると表現者としての真摯な態度に思わず心を打たれます。曲によっては魂を吐き出さんばかりの歌い方で、それがときにはヘヴィー過ぎるほどです。
さらに驚くべきはその活動歴の長さで、現在でもマイペースですがコンスタントにアルバムを発表しています。30年以上にも渡って自己を表現し続けているのに未だに才能が枯渇していないことが驚きです。
このアルバムに関しては全体的にタイトなバンドサウンドでまとまっており、ハミル流のポップを聴かせてくれます。特に2曲目の「MY
EXPERIENCE」の途中で掻きむしるようなギターが出てくる展開のかっこよさは言葉で表現し尽くせません。また、タイトル曲や9曲目「SIGN」は実にスゴ味のあるポップで、彼にしか出せない迫力を感じます。
ちなみにライヴは独り弾き語りでやることも多く、これが輪をかけてきまじめな迫力があり怖いくらいです。静聴!
2000/09/29