パンクのムーヴメントに続いてイギリスで興ったニューウェイヴ。そのシーンをリードした時代の寵児ゲイリー・ニューマンの実質的には2ndにあたるチューブウェイ・アーミー名義のアルバム、『幻想アンドロイド』です。
楽器をちゃんと弾けるわけでもない若者が、やむにやまれぬ衝動に駆られて自己表現したという点ではパンクと共通するものがありますが、パンクのエネルギーが外に向かって発散されたのに対し、彼の場合は内に向かい、それが氷点下のシンセサウンドによって表現された結果、独自の自閉した世界が完成しました。
「断ち切られた絆」で幕を開けるこの自閉劇場は、それまでのロック〜ポップのフィールドにはなかった断絶の音。出世作となった傑作シングル「エレクトリック・フレンズ」や「DOWN
IN THE PARK」等々、エレポップの先駆けというにはあまりにもいびつな独自のサウンドのオンパレードです。
それほど突出した個性を持った彼にとって唯一のアイドルはジョン・フォックスだそうです。そう言えばジョンの在籍したウルトラヴォックスのデビューアルバムには「マシーンになりたい」という曲がありました。ということは…、ゲイリーはそのフレーズを、まんま自分のコンセプトとしていただいちゃった感じ?
2005/09/17