ウルトラヴォックスに終止符を打ち、マイペースのソロ活動に入ったミッジ・ユーロの3枚目のソロアルバムです。
ニューロマンティックの代表格として髪をキッチリとキメてスーツを着こなしていた時期から10年が経過し、彼のファッションもサウンドもすっかり変わりました。ここにはエレクトロニクスな手法にも、ロマンティックな雰囲気にもとらわれない純粋な彼の姿があり、そういった表現者としての姿勢はアルバムのタイトルにはっきりと現れています。
基本的なサウンドは前作の延長線上にありながら、より自由で開放的な印象を受けます。例えば1曲目「希望の光」でアフリカの民族音楽っぽいリズムを導入している点は前作収録の「ANSWERS
TO NOTHING」と同様ですが、そこに自らのルーツを伺わせるユリアンパイプの調べを絡めることで独自のスケール感が生まれました。こういったケルティックなサウンド志向はウルトラヴォックスのラストアルバムに収録された「ALL
FALL DOWN」で既に確認済みでしたが、それが自然に彼の音楽の中で活かされています。また、スケール感についてはアップテンポな「RISING」などにもしっかりと感じられ、疾走感あふれる中にも実にのびやかなミッジ節が炸裂します。
音楽的にはこれほど熟成しているにも関わらずセールス面では芳しくなかったようですが、それが彼を開き直らせアルバムまるごとケルティックな次作へと向かわせたのだとしたら、それはそれで良かったと個人的には思います。
2005/02/10