自分の内面に爪を立てるかのような象徴的なジャケットデザインから『SCRATCH』とも呼ばれるピーター・ゲイブリエルの2ndアルバムです。
ギタリストとしてのみならずプロデューサーという形で参加したロバート・フリップとのコラボレイションによって、ピーターはジェネシス時代からのエキセントリックなヴォーカルスタイルをソリッドかつタイトなサウンドの中で活かす術を見いだしたようで、往年のいわゆるプログレッシヴな手法から脱却し、時代を見据えた上であくまでワンアンドオンリーの表現を確立しています。
冒頭の「ON THE AIR」からスゴい勢いで、もう誰も彼を止められないって感じ。2曲目「D.I.Y.」も今までにないタイプの楽曲なのに紛れもなくピーターの世界で、本人はいたって真剣にやっているのに、あきらかにいびつなものになっています。それこそ彼の真骨頂。ロバート・フリップのギターが炸裂する「WHITE
SHADOW」がまた圧巻です。
でも、ピーターのソロキャリアはこの時点でまだまだ助走段階と言わざるを得ません。なぜなら…、次作以降がもっともっとスゴいからです。
2004/12/13