『BREATHE』で自らのルーツを探求して気が済んだのか、しばらく沈黙していたミッジ・ユーロが久しぶりに放った5枚目のソロアルバムです。
ケルティックモード全開の前作を除くそれまでのソロ作の路線を踏襲した洗練されたモダンなポップで、ニューウェイヴから熟成しきったサウンドを聴くことができます。
ウルトラヴォックス時代から泣きのメロディは彼の得意とすることろで、そこには独特の歌心が存在していました。その後20年を経た今、徹底してスタイリッシュにキめていた例のあからさまなロマンティシズムはすっかりなりを潜めましたが、より胸に迫る歌心を獲得しています。明るいイントロに導かれタイトなリズムに乗って彼ならではの節回しで淡々と歌い出しながら、スケールの大きなサビへと持っていく冒頭の「YOU
MOVE ME」や、のっけからいきなりしみじみとした泣きのメロディを歌い上げる「ALONE」等々、どの曲にも人間味溢れるミッジ節が感じられます。メロディはコテコテでもあくまでジェントリーなのがこの人の強み。
ただし、中程で聴かれる轟音ギター炸裂のインストゥルメンタルナンバー「MONSTER」にはちょっとビックリ。サウンドクリエイター的側面が強い彼ですが、本来ギタリストですからこんなラウドなギターサウンドも相変わらず披露しちゃうわけです。
2005/02/22