VAN MORRISON / HYMNS TO THE SILENCE

(1991)

 アイルランド出身の魂のヴォーカリスト、ヴァン・モリソンの2枚組のアルバム『オーディナリー・ライフ』です。一見膨大な曲群にたじろいでしまいそうですが、聴いてみると驚くほど自然に淡々と流れていき、長さを感じさせません。それでいながら1曲1曲が崇高さを感じさせる名盤です。
 この頃のヴァンは驚くほど精力的にアルバムを発表し続けていました。しかもタイトルが『AVALON SUNSET』、『ENLIGHTENMENT』そしてこの『HYMNS TO THE SILENCE』と、なにやら神がかっているというか、別世界というか神聖なイメージの作品が目白押しです。
 R&B、トラッド、ジャズなど様々なジャンルの音楽を消化して、自分の世界を創り上げている点もみごとです。しかも全然肩に力が入っている感じはなく、聴き終わった後しみじみとした感動に包まれてしまいます。
 そんな否の打ち所のないこのアルバムですが、ヴァン自身はなんとも偏屈な人物のようです。雑誌のインタビューなどを読む限りではなかなか一筋縄ではいかないような受け答えをしています。まぁ、これだけの人間離れしたアルバムを創り上げておいて、愛想のいい好人物だったら、かえって気持ちが悪いかも知れませんね。

2000/10/01


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