スティーヴ・ハケットの11枚目のソロアルバムです。
ジェネシス脱退後も精力的に活動し、着実にソロアーティストとしてのキャリアを重ねてきた彼ですが、このアルバムの前がベスト盤であり、さらに遡るとライヴ盤、アコースティックなインストゥルメンタルアルバムでした。そんなわけで、もしかしたらスティーヴはもうロックのフィールドには戻って来ないのかな、なんてちょっと心配していたところに出たこのアルバムは、久しぶりに会心の作だったと言えます。さらに言っちゃうと、ちょっと色気を出して産業ロックに走った時期のアルバムよりも断然イイ!!
なんと言っても、スティーヴのトータルな意味でアーティスティックな部分がアルバム全体を通して最良の形で発揮されている点がうれしいです。つまりギター職人的な側面は言うに及ばず、それを活かすべき楽曲やアレンジもすばらしく、また、決してうまくないハズのヴォーカルまでかなり様になっており、それらが有機的に結合してスティーヴ本来の持ち味である幻想的でロマンティックな雰囲気を取り戻しているのです。だからこそアルバム中にアコースティックなインストゥルメンタルや、ロックっぽいリフや、ポップなヴォーカルが混在していても、不思議な統一感があるんだと思います。
こんなアルバムを要所で出してくれるから、間にクラシックギターアルバムだとか、エリック・サティ曲集なんかを出しても、ちゃんとついていこうという気になってしまうんですよ。
2005/05/01