80年代が終わると、私が夢中で聴いてきたアーティスト達の多くが軒並み開店休業のような状態になりました。そしてそれらと入れ替わるようにイギリスのミュージックシーンにはストーン・ローゼズ、ハッピー・マンデイズといったマンチェスター勢をはじめ、プライマル・スクリーム、ワンダー・スタッフ等々、若手のバンドが次々に台頭してきたのです。彼らのほとんどが若さゆえの恐れを知らないビッグマウスでしたが、中でもあからさまに前の時代を酷評した最もムカつく奴がマイク・エドワーズです。これはその彼が率いたジーザス・ジョーンズの2ndアルバムで、悔しいことに傑作です。
ともかくリズムが圧倒的で、80年代にはなかったグルーヴ感にまず度肝を抜かれます。でも結局このアルバムがすばらしいのは曲の良さに他なりません。特にアメリカでも大ヒットした「RIGHT
HERE RIGHT NOW」はポップなメロディーを90年代的なビートに乗せた名曲です。
当時マイクは大層ぶって「ロックのアイデアは既に出尽くしてしまっているから、これからはいかにそれらをミックスして新しいものを生み出すかが重要だ」といった類のことを言っていましたが、その結果アイデアの袋小路に陥り、見事に消えました。思えば当時の他のバンドもことごとく短命でしたね。
2003/05/26