プログレ系のアーティストの中でもとびきり甘いマスクが卑怯なマルチプレイヤー、マイク・オールドフィールドのとてもポップなアルバムです。
マイク・オールドフィールドと言えば、一人多重録音によって2300回ものオーヴァーダビングを重ねたデビューアルバム『TUBULAR
BELLS』に代表されるインストゥルメンタルの大曲が有名です。でもこのアルバムは全編通して歌を前面に出しており、短くポップにまとめられた曲が並んでいます。
ポップソングライターとしての才能は前作に収録された名曲「MOONLIGHT SHADOW」で立証済みでしたが、このアルバムもそれに匹敵する「TO
FRANCE」で幕を開けます。もっともこの曲の魅力は本人以上に、マギー・ライリーのヴォーカルによるところが大きいと思います。彼女の美しい歌声がトラッド風の楽曲の翳りを帯びた旋律に見事ハマっており、このアルバムのもう一人の主役といった趣です。
もちろん彼本来の魅力も、ラストを飾る唯一のインストゥルメンタル「THE LAKE」に凝縮されています。また、アルバムの随所で聴かれるエモーショナルなギターの音色は彼にしか出せないもので、特筆すべきものがあります。
こういった歌中心のアルバムを何枚か続けた反動からか、その後彼は『TUBULAR
BELLS』の続編を連発しますが、それはそれで大歓迎!!
2002/05/22