◯アルファロメオという名前。
アルファロメオと言う名前の自動車メーカーを知ったのは1994年の夏のことでした。
当時の職場の同僚が黒のアルファロメオ33に乗っていたからその名前を知ったのです。
ただそのころの自分は特に外国車にはあまり興味がなく、また、車も買ったばかりだったので尚のこと興味の対象ではなかった。
同僚のアルファロメオはよく故障もしてました。その度に修理に行っていたのですが、車の引き取り時は住んでいる場所も近かったことから、「帰り乗せてってあげるよ。」の一言でいつも修理工場まで一緒に行っていました。
修理工場(ショップ)にはいつも修理待ちのアルファロメオがいたが、やはり最初はあまり気にもならなかった。
「イタ車はよく壊れる」って言葉ももっともだなと再認識させられる場面をまざまざと見せつけられていました。
修理された同僚のアルファロメオが保管場所から戻って来るのを待ちながら、ショップの人達と色々とアルファロメオの話などをよくしていた。
彼等は当然アルファロメオに惚れ込んでいるようで、故障したときの事などもうれしそうに話す。
こりゃあついて行けない世界だなー、最初のうちは正直そう思っていました。
◯音
同僚の黒のアルファロメオに乗って帰る道すがら、よくエキゾーストの話しなんかで盛り上がってました。
アルファロメオは音とハンドリングだと彼は言い、直ったばかりのアルファロメオに鞭を入れる。
なるほど、確かに乾いた排気音はうるさい音ではなく、むしろ耳に心地よい。
音がある方向を向いて鳴っているというか、そろっている感じがするのだ。エンジンの音もざらついた感じがなく、レーシーな音を奏でている。
それでも、「なるほど」といった感触程度でしかなかった。
◯とある日
そんなある日。そう、そろそろ以前買った車のローンも終わったので、次の車は何にしようかな。なんて思い始めていた頃のこと。
この頃の自分はやはりアルファロメオに大きく傾倒していた訳でもなく、「まーアルファ買うなら1300Jrなんか可愛くていいねぇ。」と言った程度のものだ。
その日、いつものショップに同僚のアルファロメオを受け取りに一緒に行っていた時のこと。
今思えば、この日ここに行かなければたぶん今、アルファロメオには乗っていなかったと思う。
ショップでいつものように車が保管場所から帰ってくるまで適当にくつろいでいると、どうやらイタリア語で書かれた雑誌の様なものが目に止まった。
表紙にはテストコースを走る真っ赤な145Qの正面から写された写真。
なんてエグいデザイン。最初はそう思ったが、しかし鮮烈なデザイン。
なぜか「買うならこれかな・・」自然と口から言葉が出た。
強烈な一目惚れ。
1996年、2月のことでした。
◯145を探して
あの写真を見て完全にのぼせ上がってしまっていた。もう買うなら145しかない、とも思ってました。ショップは1.7のボクサーエンジンならもう国内にあるようだと言っていた。(と思う)
それでも、まだ車購入の頭金が溜まっておらず、どうやら夏ごろに正規輸入されそうだ、との事なのでぐっと待つことにした。
待つことにしたとは言え、欲しいとなるとやはり一刻も早く欲しくなるのが人のサガというもの。たまにアルファロメオの中古車専門店に出向いて見たりして、平行もので中古でもいいからと、すでに渇望に近かった。
周りからはアルファなんて壊れるから止めとけなんていわれもしたが、ほとんど馬耳東風。
他の車も考えられなくなってきていた。
そんなとき、今の145Qの購入先、コーンズ東名横浜で営業の人から「145Qが秋に正式輸入されます。」と言われる。
同じ買うなら平行より正規もののほうが絶対にいい、待つ価値はある、と言われて腰を据えて待つことに決めた。
◯発表から予約まで
1996年10月。145Qのカタログと共に展示発表会の招待状が届いた。
狂喜乱舞し、スキャナーで読み取りパソコンの壁紙にする。
発表会当日、仕事の友人3人と共にコーンズへ赴く。午前中のやや早いうちに訪れたのでまだ客はあまりいなかった。
営業の人と145Qについて色々話しをした後、いよいよ試乗させてもらえることになった。
どうやら本日最初の試乗のようだ。一番にハンドルを握らせてもらい、試乗コースへと車をころがした。
145Qには他に友人3人が乗り込む。営業の人は乗っていない。ちゃ〜んすである。
最初の1周は感じをつかむため流し気味に。2周目はちょっと引っぱって見たりした。
2周目を終え、順番に友人たちがハンドルを握り、客観的な感想を言ってもらう。なんせ完全に頭に血が上ってるので細かな不具合に気がつかない可能性があったからだ。
3人ともまずまずの評価だった。
最後にもう一度ハンドルを握り、ディーラーへと戻った。
この後のことは頭に血が上っていたためよく覚えていないが、「今にもハンコを押しそうな勢いだった。」と友人は後に述回している。
とりあえず一晩頭を冷やして考えろと友人に言われ、予約もなにもせずに帰宅した。
この夜は眠れなかったのを覚えている。
よく朝、ディーラーの営業開始時間を見計らって、電話を入れた。
「145Qの件、よろしくお願いします」、と。
◯そして購入まで
予約は入れた。しかし、本当にいいのか?ということで、他社の車も乗り比べて見ることになった。
ただ、他社の車で欲しい車ははっきり言ってない。唯一、スズキのカプチーノなんかいいかななんて思っていたくらいだった。
そういえば、コーンズの近くにローバーがある。
と言う訳で、MGF1.8iに試乗してみることとなった。
MGFは雑誌では見たことのある車だったが実物を見るのは初めてだ。
駐車場に車を置きつつ、その場にいた営業の人に声をかける。
(後にこの営業の人が台風の中わざわざ「どうですか?決めていただけましたか?」と家まで訪ねて来るのだが、逆にアルファロメオ145Qの良さをとくとくと説明して、納得の上帰って貰った。悪いことしちゃったかな。ま、いいか。)
1.8はないが、VVCなら試乗車があるとのこと。さっそく乗せてもらう。
幌がかかっていたが、オープンカーだし天気もいいので幌を降ろして、いざ出発である。
乗った感じは悪くない。吹けもいいし、なによりハンドルも軽快だ。
何となく気持ちが傾きかけるが、どうも物足りない。そんな気がした。
うーん、と唸りつつ帰る。
その後、何度かコーンズにイベントで足を運んだ折り、145Qに試乗させてもらった。やはりこれしかない。運転していて何度もそう実感した。
1996年12月1日。ついに納車となった。
その後のアルファライフは、また折りに触れて書いていこうと思う。
◯結論
なぜ145Qを選んだか自分でもよく判りません。強いていえば、初めて見たときの印象があまりにも強烈だったから。
ま、アルファは理性で買うクルマでもないし。欲しいときが乗り時。
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tama-KDM.1997