笑顔の意味

<何がおかしいのか>
 たまは毎朝、ズームイン朝を観ている。
 別にズームイン朝にも福澤アナにも札幌テレビの山中アナにも罪はないのだが、8時を過ぎてしばらくした頃に流れるCMについて、起動中の脳みそで色々と疑問に感じている事がある。
 余談だが、たまは自慢ではないが割と血圧が低いほうなので、朝は起動に時間がかかる。
 機能拡張とコントロールパネル設定項目をメモリにロードするだけで、ゆうに30分はかかるほどだ。
 遅刻決定リミット数分前に起床したりすると、機能拡張関連を一気に省いて強制的に起動するために、仕事中必要なファイルが見つからないとか、スケジューリング機能が停止するなどの不具合が発生することが多い。
 時にはフリーズして入力すらも受け付けなくなる場合もあるのだ。まいったか。こんなでも会社人やれるんだから、世の中って不思議だネ。

 閑話休題。

 その気になるあの子は紳士服のコナカのCF。
 「ジャッジャーーン、スッチャラーラ、スッチャラーラ、スチャッチャ〜」と脳天気な音楽と共に流れるアレだ。
 今は夏を前に「涼感スーツ」というモノのCMを流している。
 内容はこうだ。

 メガネをかけた、ちょっとくたびれ気味のおっちゃんが「いやー、外は暑い」と汗を拭きながらオフィスに帰ってくる。
 それを見かけた同僚が「そう?」と言いながら涼しい顔で去って行き、おっちゃんに麦茶を差し出した庶務さんと思しき女性がおかしそうに微笑む。という、強いて題すれば「夏の外回り編」が、その1。
 このCMは通常2本仕立てになっていて、2本目は勝手に題して「夏の結婚式編」。
 やはり、同じおっちゃんが「いやー、夏の結婚式は暑い」と礼服を脱いで、汗を拭きながら受け付けをしている。
 ここでも、同じ同僚が「そう?」と軽やかかつにこやかに礼服を着こなし、受け付けの女性が上目遣いに微笑むという内容だ。
 キャストは2本とも同じ人物である。

 このCMで疑問に思う部分は、その「女性の微笑み」である。
 何がおかしいのか。誰に対して微笑んでいるのか。あれは本当に「微笑み」なのだろうか。
 深く深く考えて見た結果、CFの意味を根底から覆す一つの可能性を導いてしまった。

 CMの意図としては、「涼感スーツ」というスーツは夏でも通気効果が高いので暑くないよ。と言いたいわけで、それをあのおっちゃんと同僚の対比と言うカタチで演出している。
 配役も、おっちゃんはいかにもくたびれてます、という風貌だし、涼感スーツを着た同僚は、爽やかで涼しげな風貌をしているので、対比効果はより高く感じられる。
 そこに出てくるあの女性。ちょっとロッキーチャックに似てるような気もするが、それはこの際おいとくとして、彼女の「微笑み」は次のように解釈できる。

 その1:あの微笑みは「おっちゃん」に向けられたモノであり、「同僚」との対比が可笑しくて笑っている。
 その2:実はあの「同僚」に向けられ、彼の言動がおかしくて笑っている。
 その3:特に意味はなく、単なる愛想笑い。
 恐らくCMとしてはその1を言いたいのだろうが、各人のセリフ順から考えると、その2の意味も否定できないし、その3だって十分にあり得る可能性の一つである。
 だいたい身の回りにおいて、「外は暑いなぁ」「そう?」という会話を横で聞き、笑ってしまうことなどあり得ることだろうか。
 「あつはなついなぁ」「逆やんっ」という寒いコントで愛想笑いする事はあっても、ごく一般的な季節の会話で笑うことは通常あり得ない。
 それに対して「笑う」行為を行うということは、その背景にCFでは語られない何かがあることを暗示している。
 試みに仕事場で実験してみたところ、「あ、そう」「そうですね」「夏だからな」という答えが返ってきた。可笑しくもなんともない。
 そこで彼女のその時の心理を、本でさらりと読み流しただけの極めて高度かついい加減なプロファイリングテクノロジィによって、解き明かしてみたいと思う。

 その1、に関しては、単純におっちゃんの無知を笑っているだけだ。それ以外に笑う部分は無い。
 その2。実は個人的にこちらが濃厚ではないかと睨んでいる。
 理由は彼女の笑い方だ。どう見ても同僚の発言に同調した笑いではない。また、同僚の発言の後に笑っていることから、あの笑いは同僚の言動に対して発生していると言える。
 とすると、同僚は暑さをモノともしないヒミツ兵器を着用して颯爽としているにも関わらず、彼女に笑われている事になる。
 これはCMの意図とは逆ではないだろうか。おそらく彼女の頭の中では「同僚=変なヒト」という図式が成り立ってしまっているに違いない。
 その3は言うまでも無かろう。二人に干渉することなく、愛想笑いでその場を切り抜ける社会的適応性を駆使しただけだ。

 と3つの可能性を考えると、彼女の笑いはどれも商品の性能をアピールするモノではない。
 逆に例のスーツを着た同僚を笑ってしまっているという、逆効果すら発生させてしまうのだ。

 結論は出た。
 このCMは彼女の笑いによって、CM対象物の効果を暗に打ち消しているのであると推察出来る。
 要するに洗剤のCM中のイメージ映像と同じである。あれも、「白さが違う」「汚れ落ちがアップ」とか言いながら、イメージ映像では汚れを完全に落としきっていない。
 全然涼しくない、JAROに訴えてやる! という客対策なのではなかろうか。

 おそらく男性2名のCMでは華がないので女性を投入したのであろうが、効果としてはマイナスである、と言えよう。
 それにしても、紳士服関連のCMは本当にセンスに疑問を感じ得ないのが不思議だ。
 そのうち、こちらについても触れて見たいと思う。

 っていうか、別にどうでもいいことなんだけどさ。
 なんかこんなんばっか。




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