[アクアマリンふくしま]
(あくあまりんふくしま)
外観


 東北の玄関口、福島。
 福島県の入口とも言えるいわき市の港、小名浜に建てられた新しい水族館です。
 見た目も新しいですが、展示の試みも新しいカタチだと思います。


 このアクアマリンふくしまは基本的にほぼ完全な屋内型の展示施設で、屋外展示はありません。
 海獣も全て水槽内と言う形で展示されています。
 ですが、見ての通り壁面及び天井屋根にガラスを多用した明るい造りで、狭苦しい印象を与えませんし、実際エントランスは日光があたって程良く心地よいものになっています。
 太陽光を最大限利用した照明は、サカナの色味を実に自然に演出しています。
 イルカのショーなどはありませんが、水棲生物の展示施設としては極めて高いレベルでまとめられています。
 また、ここの水族館は、沿岸を流れる黒潮、親潮、潮目がメインのテーマとなっています。

 map  (各階のスケールはテキトウです)
 中央にある巨大回遊水槽を中心に、各階が有機的に結合されています。
 立体的な作りと言うイメージの構造で、階といった概念にあまり囚われないので少々マップも分かりにくいかも知れません。
 見て回っててもサッパリでしたから、あくまでイメージ的に捉えてください。

 また、各階や各エリアではそれぞれテーマに沿った展示が行われ、エリア入口ではテーマと展示内容が書かれたしおりが置いてあります。
 最初に読んでおくと、展示の意図が掴みやすくなります。
 先に述べておきますが、ここの水槽展示は、もの凄く気合いが入っています。
 一つ一つが勝負球のアクアリウム。魅せる展示です。


<1階>
 エントランスより1階展示室入口では、壁に掛けられたLCDで古代の海の映像が流れています。
 1階のテーマは「海・生命の進化」
 年代や進化の順に並べられた化石を経て、生きた化石の展示へと移ります。
 化石は状態が非常に良く、形がとても良くわかります。
 生きた化石の展示では、水槽の横にその近種の化石と解説が掲げられていて、まさに「生きた化石」を演出するものになっています。
 「生きた化石」としては、順に、カブトガニやエビスガイ、オウムガイ、に始まり、ヌタウナギ、スポテッドラットフィッシュ(ギンザメの一種)、シーラカンスの映像、チョウザメ、と順に展示され、さらに、トカゲみたいな顔をしたポリプテルス、ウロコの様な体表のガーパイク、肺器官を持つハイギョに至り、最後にオオサンショウウオで締めくくりとなります。
 化石と実際の生態を展示しながら進化の過程を説明するという、簡単そうで難しそうな展示です。

<4階>
 エスカレータを登って一気に4階へ行きます。
 展示は階を下がる形で順路が設けられています。

 4階のテーマは「ふくしまの川と沿岸」と題して温帯植物園風の中に水槽を配して上流域から沿岸域までを見せるモノです。
 明るい太陽光と緑の植物に囲まれた展示は視覚的効果も高く、また、水槽内部のデコレートも水域に合わせた自然なモノで、実際に川の中を覗いたらそう見える風に作られています。
 サカナの為にも良いのではないかと思われる展示です。
 展示ですが、上流域にはヤマメやイワナが、中流域にはオイカワやウグイ、ニゴイ、タナゴが群れなして泳ぎ、その通路反対側には小川の展示があり、泥に潜るドジョウや水草に隠れるイモリ、岩の間でジッとしているナマズなど、その生き物独特の生態がとても良く判る展示がされています。
 さらに湧水では清流に済むホトケドジョウやイトヨが、水田ではドジョウとメダカが泳いでいます。
 池沼ではフナ、モツゴ、タナゴ、エビが少し濁った水の中で泳ぎ回っていました。

砂地  先に進むと、通路反対側で大水槽上部が顔を出してます。
 展示は河口から沿岸部に移り、河口では汽水が表現されてるところが芸が細かい。
 沿岸では砂地、岩場、潮だまりとあり、それぞれに特徴のある魚種や内装が施され、その場に潜って見ているような錯覚さえ受けます。
 河川上流域から沿岸まで実に無理なく自然な形で見ていくコトが出来る展示でした。

<3階--北の海の海獣>
 北の海、ということで、親潮つながりです。
 展示室左手より、ゴマフアザラシ、トド、タイヘイヨウセイウチ、アラスカラッコ、と展示されてます。
 ここでは一日に数回、海獣の説明をしながら餌付けをするショーが催されています。
 水中を暴れながら泳ぐトドを間近で見られるのは、ここくらいしかないと思います。
 ラッコは、飼育員の方からエサを貰う仕草が非常に可愛らしい。

<3階--オセアニックガレリア(海の博物館)>
 入口左手には縄文時代からの漁業の歴史の展示が行われています。
 順路は右手方面に行くのですが、こちらでは大きな海流儀に始まり、アトラクションや沿岸における色々な解説展示、プランクトンの展示、絶滅危惧種の展示がされています。
 また、「バックヤードツアー」と言う見学イベントの受け付けもこちらで行っています。
 常設では無いようでしたが、クラゲの展示がありました。他の常設展示にはないテーマ展示を行っているようです。

<3階--熱帯アジアの水辺>
熱帯  熱帯展示は黒潮つながり。
 ここも熱帯植物園風の部屋の造りで、通路の左右に木々に囲まれた形で水槽が配されています。
 展示は淡水の小型魚、中型魚、大型魚と並んでいますが、黒潮に関した展示なのでアジア系の魚種でまとめられ、アマゾン水系の巨大ナマズなどは展示していないところが徹底しています。
 淡水展示のあとは、マングローブ林の海岸。
 大きく干潮時、満潮時と2つの展示に別れ、マングローブ水路として小規模な展示がされています。

<2階--サンゴ礁の海>
熱帯2  熱帯マングローブから続く形でサンゴ礁の海の展示に入ります。
 ここは大水槽が見事で、群れなして泳ぐ熱帯魚の足下、白い砂の水底ではチンアナゴが群生(?)しています。
 展示している水槽じたいは多くはありません。

<2階--オホーツク海>
 北海道東岸から千島列島、アラスカ、シベリアに渡る凍てつく海の展示です。
 寒冷水系の魚は地味な色合いですが形は面白いものが多く、まん丸い身体のナメダンゴやどう猛なオオカミウオなどの展示がされています。
 基本的には美味しそうな魚なので、少し、別な見方をしてしまったかも知れませんが、美味しそうなものは美味しそうなので仕方がありません。

<2階--潮目の海>
潮目  2050トンもの水量を誇る巨大な回遊水槽です。
 中央やや左よりに三角の海中トンネルがあり、これを境に黒潮と親潮をわけて「潮目」を再現しています。
 親潮側には北方系の魚種が、黒潮側にはカツオやイワシ、マグロが大回遊しています。
 超巨大パノラマで、いつまで見てても飽きません。

<2階--ふくしまの海>
 福島沿岸の海に生きる生き物の展示です。
 ここで目を引くのは、「サヨリ」と「サンマ」の飼育展示でしょうか。
 生きて泳ぐ姿などなかなか見ることはないと思います。
 ここではサンマを卵から育て、水槽内繁殖にも成功し、累代飼育にも成功しているそうです。
 水中を泳ぐサンマは青く光ってました。美味しそうです。

<2階--タッチングプール>
 興奮しながら一気に見駆け抜けた展示も、タッチプールでついに終わりです。
 磯を再現したプールにはメバルやウニ、ヒトデが棲み、また資料館のような部屋が併設され、見て触って調べてと、3拍子そろった展示です。


 タッチプールを過ぎると、緩やかなスロープを下り、売店を経てエントランスへ戻ります。
 ゆっくり見て回って約2時間。見終えるのが勿体ない水族館でした。

 またスロープを下って右手の通路に向かうと展望台へ登るエレベータがあります。
 おおよそ地上から30m。小名浜が一望に望めます。
 備え付けの双眼鏡は、無料でした。


<周辺>
周辺
 水族館から歩いて5分と近くに、「いわき・ら・ら・ミュウ」と言うスポットがあります。
 中は、新鮮な魚介類を販売する「お魚工房」
 おみやげ屋が集まる「ふるさと工房」
 吟味された味の「レストラン」
 海の幸を楽しむ「ふるさと食彩工房」
 と、各種店舗が軒を並べています。
 また、ら・ら・ミュウの前の岸壁より遊覧船クルーズが行われています。

 水族館の周囲はちょっとした公園風になっていて、海を望みながら散歩も良いかと思います。

<交通>
 基本的にクルマを推奨します。
 バス等の運行は未確認ですが、JR常磐線いわき駅と湯本駅から出ているようです。
 常磐自動車道で、いわき湯本IC.から小名浜方面に約20分。「アクアマリンふくしま」の案内板が各所に出ているので、迷わないと思います。
 また、いわき勿来IC.、いわき中央IC.からも案内板が出ているようです。
 常磐道を使ったときの時間は、三郷からおおよそ3時間。


<INFO>
 入場料:1600円(おとな) 800円(小〜高校生) 団体料金あり(20名以上)
 休館日:毎週火曜日(休日の場合は翌日)、12月29日〜1月1日
 開館時間:午前9時〜午後5時30分(3/21〜11/30)
      午前9時〜午後5時(12/1〜3/20)
 住所:福島県いわき市小名浜字辰巳町50
 電話:0246-73-2543

 Website:http://www.marine.fks.ed.jp/



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