もうし　もうし　柳河じゃ　柳河じゃ
銅（かね）の鳥居を見やしゃんせ
欄干橋を見やしゃんせ
（馭者（ぎょしゃ）は喇叭（らっぱ）の音（ね）をやめて
赤い夕日に手をかざす）
薊（あざみ）の生えた　その家は
　　　　　　　　　　　　　　その家は
舊い（ふるい）むかしの遊女屋（ノスカイヤ）
人も住まはぬ遊女屋

裏のBANKO（バンコ）に居る人は・・・・・・・・
あれは隣の継娘（ままむすめ）継娘
水に映ったそのかげは
　　　　　　　そのかげは
母の形見の小手鞠（こてまり）を
　　　　　　　　小手鞠を
赤い毛糸でくくるのぢゃ
涙片手にくくるの０ぢゃ

もうし　もうし　旅のひと
　　　　　　　　　旅のひと
あれ　あの三味をきかしゃんせ
鳰（にほ）の浮くのを見やしゃんせ
（馭者（ぎょしゃ）は喇叭（らっぱ）の音（ね）をたてて
赤い夕日の街に入る（いる））

夕焼小焼
明日天気になあれ

　　　　　註　　BANKO　　縁台
　　　　　　　　葡萄牙語の転訛か