文部省唱歌

ヘドロや油で汚染されている現在の海の状態からは想像もつかない程
美しい歌で、白帆が浮かぶ昼の海と、月のない漁火の映える夜の海の
情景を、対照的に描き出している。〜松原は消え、白帆は浮かぶ・・・
とか、〜干網は高く、鴎は低く・・・といったように二つとも対句を重ねて
おいて〜見よ昼の海 見よ昼の海・・・と反復によって情感を高めるに
あたり、かなり技巧的にハイレベルな叙景詞である。
                 (日本抒情歌全集1の解説より)

1.松原遠く 消ゆるところ
  白帆の影は 浮かぶ
  干網(ほしあみ)浜に 高くして
  鴎(かもめ)は低く 波に飛ぶ
  見よ昼の海 見よ昼の海

2.島山闇(やみ)に 著(しる)きあたり
  漁火(いさりび) 光淡(あわ)し
  寄る波岸に 緩(ゆる)くして
  裏風軽(かろ)く 沙(いさご)吹く
  見よ夜の海 見よ夜の海