石垣りんの詩による五つの混声合唱曲
朝のパン

作詩 石垣 りん  作曲 萩 京子

1.朝のパン

毎朝
太陽が地平線から顔を出すように
パンが
鉄板の上から顔を出します。
どちらにも
火が燃えています。
私のいのちの
燃える思いは
どこからせり上がってくるのでしょう。
いちにちのはじめにパンを
指先でちぎって口にはこぶ
大切な儀式を
「日常」と申します。
やがて
屋根という屋根の下から顔を出す
こんがりとあたたかいものは
にんげん
です。