就職選択のヒント
・就職か大学院進学か迷っている人へ
大学院に進学することは社会へ出ることが一歩遅れることにはなるが、その
一方より深い知識が身に付くことになる。一般的な就職への有利不利を考え
ると、2年早く入った人より会社経験が少ないにもかかわらず相応の経験年
数とみなされることが多いので、経歴的な面では中立的と言える。一方、職
域的には研究・開発的な職務はある程度の知識が要求されるので、学部卒で
は補助的な職務は別として研究・開発的部門には配属されないことが多い。
研究・開発指向の会社では大学院卒は歓迎される。よって、就職時の選択範
囲は広くなる。一般に理工系の学問は学部4年間では基礎知識の習得もかな
り難しいと考えられており、ある分野の知識を最低限身に付けるには修士課
程程度までは必須と考えられている。大学院は研究者の養成機関という考え
方も昔はあった。現在でも一部にはその考え方も残ってはいるが、実質的に
は社会に出て広く活躍する人材に必要な知識を教えるという面が強い。
・学内就職援助機能利用の勧め
大学は正式に職業斡旋機関と認められている。雑誌、ノウハウ本などの影響
からか、大学のこの機能を活用せず、いわゆる自由応募だけしかしない人も
いるがまことにもったいない。各講座等に就職担当教官がいて責任をもって
対応してくれるほか、厚生課が対外窓口になっている。就職相談室もある。
指導教官も相談に載ってくれる(特に大学院生については、就職担当は各指
導教官という位置づけになっている)。
求人は大学あてに各社から何名ほしいという形で来る。これを合計すると
求職者の数を上回ることが多い。形式的には100%の就職率も可能ということ
になる。東京商船大学を指定して求人してくる会社は商船大出身者がいるこ
とが多く、商船大のことは分かっていてその出身者のよさも分っている。自
由応募では面接時に、当人の長所・短所にかかわる質問項目に入る前に商船
大とはとか、交通電子機械工学課程とはとかの質問が来ることが多く、当人
そのもののよさをアピールする前に多くの時間が取られがちである。これに
対して、大学指定求人の場合は様相が異なる。
大学指定求人が来ている会社が同時に自由応募でも採用している場合、現
実には大学指定求人の方が数倍採用率が高い。大学指定求人があるのに、そ
の会社に自由応募する場合がときどき見られるが、最低限のチェックを怠っ
ているとしか言えない。
大学指定求人は学内推薦を受けることになる。これは実質的には早いもの
勝ちとなる場合が多い。学内情報はできるだけひんぱんにチェックすること
を勧める。また、担当教官とは連絡を密にして自分の希望をよく理解しても
らっておくと、よい情報が得やすい。以前は大学から推薦を受けると即内定
がもらえるケースも多かったが、最近は自由応募とは別ではあるが、採用試
験を課すことが多い。それでもヒット率は自由応募よりはるかに高いことを
覚えておいてほしい。
大学の斡旋に載ると気に染まぬ会社に無理やり入らさせらるというような
心配はまったく無用。もし万一そのような状況になれば自分でよく判断して
はね返せばよい。
大学指定求人はある程度固定化しているので、その中からだけで十分自分
の希望する会社が見つかるという保証はない。また、新しい職域開拓も必要
である。このようなことから自由応募を全くしなくてよいとまで言い切れな
いが、最低限大学を通して来る求人がどの程度あるのかはよく把握しておく
ことを勧める。
・人材派遣会社には注意
この頃は不況で、大会社でも求人数はしぼっている。その一方で、会社の規
模が小さいにもかかわらず大人数の求人を出す会社がある。この種の会社に
は注意が必要である。その中で多いのが人材派遣会社である。一概には言え
ないが、中には実質はペーパーカンパニーで、人入れ稼業とでも表現すべき
悪質な会社もないとは言えない。このような会社は社員の平均年齢、平均勤
続年数(公表していないことが多いだろうが、半年位で大部分やめるような
ところもあるという)などで判断がつく場合がある。
・全体に言えば教官とフランクに話しあうと役立つ情報が得られることもある
といえる。就職は人生の門出ともいえるので、それなりによく考えてほしい。
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