曲の中間部分をカットして曲を短縮


−イントロとエンディングを残して曲を短縮するテクニック−

 良い曲を見つけて、デモンストレーションで使いたいけど、そのままでは長すぎて使えないということは多いですね。パーティーのダンスタイムで使う音楽では、曲が長すぎる場合は適当な時間でフェードアウトして短くすれば十分使えます。デモンストレーションの踊りでは初めにイントロがあり、それから踊りの本編があり、最後にエンディングで決めのポーズで終わるので、これに合わせて音楽もエンディングを残して短縮したいものです。そのためにはフェードアウトではなく、中間部分をカットすることが必要です。

 どんな曲が中間カットで短縮できるかというと、同じメロディーが何度か繰り返して出てくる曲です。たとえば、歌謡曲をカラオケで歌うとき、イントロに続いて1番の歌詞があり、2番の歌詞が続き、間奏をはさんで3番の歌詞があって、そのあとエンディングになるとします。これを、途中の2番の部分をカットして、1番から3番に直結してやればよいわけです。

 中間カットはMDでも出来ます。トラックの分割、削除、結合の機能を利用します。カットすべき中間部分の初めの位置と終わりの位置を決めたら、MDで音楽を再生して聴きながら初めの位置で、一時停止ボタンを押して曲の分割を行います。次に続きを再生し、終わりの位置で一時停止ボタンを押して曲の分割を行います。この操作で1つトラックの原曲が前・中・後の3つトラックに分割されます。そこで、中間部分に当たるトラックを削除して、前・後のトラックを結合すれば、中間がカットされた音楽が出来上がります。なかなか1回では自然なつながりの曲にならないので、上手くいくまで何度かトライしてみてください。分割位置を決める一時停止のタイミングがつかめると上手につながります。

 MDに比べてWAVE編集ソフトはずっと楽で、きれいに中間カットが出来ます。波形表示を目で確認しながら位置決めが出来るからです。以下Cool Editを使った具体例を示しながら方法を紹介します。

 作業の順に従ってCool Editの画面をキャプチャーして説明します。
 わかりやすくするために良く知られた歌謡曲である小林幸子の「おもいで酒」を題材にしてみました。


Cool Editを起動します。起動画面が表示されます。

 




File-OpenでCDからパソコンに取りこんだWAVE形式のファイルを選択し、読みこみます。

画面に波形表示が現れました。曲全体で3分45秒あります。

 



さて、「おもいで酒」の歌詞は次のとおりです。

1番
  無理して飲んじゃ  いけないと
  肩をやさしく  抱きよせた
  あの人どうして  いるかしら 
  噂をきけば  あいたくて

  おもいで酒に  酔うばかり

2番

  ボトルに別れた  日を書いて
  そっと涙の  小指かむ
  あの人どうして  いるかしら
  出船の汽笛  聞きながら
  おもいで酒に  酔うばかり

3番
  いつかは忘れる  人なのに
  飲めば未練が  またつのる
  あの人どうして  いるかしら
  暮らしも荒れた  このごろは
  おもいで酒に  酔うばかり

 こうして歌詞を見ただけでも同じフレーズが何度も繰り返されて入るのが分かります。カットする部分の先頭と末尾は同じフレーズの音に入る部分を指定します。「あの人どうして」の「あ」の音が鳴る直前、あるいは「いるかしら」の「い」の音が鳴る直前、「おもいで酒に」の「お」の音が鳴る直前、「酔うばかり」の「よ」の音が鳴る直前など、何箇所もカットできそうなところがあります。

 では、Cool Editで再生して聴いてみましょう。曲が再生されていくのに合わせて、縦の実線が右に向けて進んでいきます。

 「ここをカットする部分の先頭にしたい」という部分が聞こえたら、再生を1次停止します。動いていた縦の実線が止まります。停止位置の波形上でクリックすると縦の点線が表示されます。次に赤い録音ボタンのすぐ右にある拡大ボタンをクリックします。上の+マークのついたのではなく、下の段の方です。これをクリックすると点線の位置を中心にして画面を拡大してくれます。1回ごとに拡大が大きくなります。3−4回クリックして適当なサイズにします。そうしたら、点線の少し左をクリックし、点線の位置を左にずらします。これで再生すると、聞こえる音に対応した波形の位置がはっきりとわかります。


1番の「あの人どうして」の「あ」の音がまさに鳴る直前を探して、点線を持っていきます。点線を何度かずらして再生しながら探すと、ぴったりの位置を見つけられます。再生を停止し、点線の位置に対応する、下の時間表示の数値を記録します。45.732秒です。

 


歌詞の2番の中の「あの人どうして」の「あ」の音は、1分46.896秒から始まります。

 


歌詞の3番の中の「あの人どうして」の「あ」の音は、2分59.194秒から始まります。

 


 これらの時間をメモすれば準備は完了です。。

 

 では、いよいよカットの作業です。

 今回は3箇所の同じフレーズがありました。1−2の間をカット、2−3の間をカット、1−3の間をカットの3つの選択肢があります。どこをカットするかで、出来上がる曲の長さは変わります。

ここでは、2−3の間をカットしてみます。

まず、波形表示を縮小し、曲の全体表示されるようにします。


 右下に時間を入力する欄があります。上下2段になっていて、上がSelで、削除したりeffectをかける部分を選択する欄で、こちらに入力します。下がViewで、現在の波形表示が何分何秒から何分何秒まで表示されているかをしましていますが、こちらは特に利用することはありません。


このSelのBeginのところにカットしたい部分の先頭の位置を時間で1:46.896と入力します。





次にEndのところにカットしたい部分の末尾の位置を時間で2:59.194と入力します。そして、Lengthをクリックすると、その欄に1:12.299と表示されます。1分12.299秒の長さの部分がカットされて短縮されることを示しています。



また、波形表示の途中部分が白く反転します。この部分がカットする予定の部分として選択されたわけです。

 




そこで、メニューバーのEditからDelete Selection をクリックすると、選択された部分が削除され、曲の前後がつながります。
全体は2分32秒になっています。

 

 では確認のため再生して聴いてみましょう。1分46秒付近でつながった部分が出てきます。ここが自然につながって聴こえれば成功です。上手くつながって聞こえない場合は、指定する位置を少しずらしたり、別のポイントでカットできる場所を探してやってみましょう。

 実際のダンス音楽では歌詞はついていませんし、演奏だけのものもあります。メロディーを何度も聴いて、同じメロディーが出てくる場所を見つけます。歌詞が違っていてもメロディーが同じならきれいにつながることがあります。歌詞の内容がおかしくなることはあるでしょうが、外国語で歌ったものでは聴いてもよく理解できないのでダンスではあまり問題ないでしょう。

中間カットの技術は初めは難しく感じるかもしれませんが、何度かやっているうちに上達します。特にプロのダンス教室で開くパーティーは、デモンストレーションが多いので、中間カットの技術が活躍すると思います。

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