ダンスパーティー音響係の奮闘記 |
〜最高のパーティー音楽を追求した記録〜 |
1. 初めての音響係私が社交ダンスを始めて2年目のこと、 所属していたサークルでパーティーを開くことになり、音響係をやってくれと頼まれました。 同じ種目が続かないように音楽の順番を考えて、カセットテープに録音したのを作り、ダンスタイムの間流してくれればいいからとサークルの先輩に言われ、軽い気持ちで引き受けました。 サークルの練習で使っていたCDを数枚借りてCDラジカセを使って録音を始めました。サークルで習った種目の順に配列を決めました。ブルース、ジルバ、ワルツ、ルンバ、タンゴ、チャチャチャで1サイクルとして、CDから音楽を割り振って90分のテープに4サイクル分を録音しました。その時に使ったダンス音楽のCDは普通のCDショップに並んでいる日本のバンドの演奏のものでしたし、ボーカルの入った曲は1曲もありませんでした。それが当たり前というか、それだけしか知らなかったのです。でもパーティーでは自分の作った音楽テープでみんながとても楽しそうに踊ってくれるのを見て、私は何となく嬉しい気持ちになりました。ああ、これが社交ダンス音楽にのめり込むきっかけになろうとは。 2.素晴らしい音楽との出会い所属していたサークルのメンバーで、上手な人がアマチュアの競技会に出ていると聞き、会場に応援しに行くことがありました。 初級から上級までランクごとに競技が進められていきます。 6級とか5級の初級ランクでは私が当時パーティー音楽集を作るのに使ったような音楽がかかっていました。 ところが2級とか1級になってくると、かかる音楽がボーカル入りの豪華で洗練されたものになってきました。 もちろん上手な人達の踊りにも感動しましたが、それ以上にバックの音楽にも聞き惚れてしまいました。何ていい音楽があるんだろうと思い、音楽の担当者の所に行って使っているCDを見ると、ほとんどが外国製の輸入CDでした。 そういう華やかな音楽を耳にしてしまうと、自分がパーティーで流していた音楽が、何かあか抜けていない、みすぼらしいものに感じられてきました。 そして、パーティーでもこういう素晴らしい音楽を流したら、どんなにか気持ちよく踊れることだろうと思い始めました。 ああ、これが輸入CDのコレクションを始めるきっかけになろうとは。 3.重大なことに気がついた輸入ダンスCDを買い集め、だんだん枚数が増えてきました。 1枚のCDに納められている曲の全部を使うのではなく、その中でも特別にいい音楽だけを選んでカセットテープに録音するようにした結果、とても豪華なパーティー音楽集ができ上がりました。 しかしながらこのようにして作ったテープは、聞いている分には満足だったのですが、実際に踊ってみるといろいろ不満を感じる部分が出てきたのです。第1に演奏の速さです。 驚いたことに、輸入CDは演奏速度にかなりのばらつきがあります。 最もばらつきが大きいのがルンバです。 遅いのは22BPM (BPMとは1分間に演奏される音楽の小節数です) から速いのは29BPMまでと大きな開きがあります。 ルンバはいい曲が最も多い種目なのですが、せっかくきれいな曲でも踊ってみるとテンポが合わず踊りにくい場合が多いのです。 CDの原曲のままでは駄目だ。 1曲ずつ演奏速度を最適に調整する必要があると気がつきました。 第2に演奏時間の長いものが多いことです。 日本のダンスCDは1曲を構成する小節数は大体決まっていて、ワルツやルンバだと4小節の前奏に続き64小節の演奏というのがが普通で、時間にして2分40秒くらいです。 それが輸入CDでは3分を超えるものはざらで、長いのは5分以上のものまであります。 どんなにいい音楽でも、パーティーで1曲をこんなに長く踊っていられません。 はじめからちょうど良い長さの曲を選んで使うか、そうでなければ長い曲は途中で終わらせて短くするしかありません。 第3にCDごとに録音されている音量に差があることです。 何枚ものCDからダビングするとき、音量に注意しないと、パーティーで曲が変わるたびに音が大きくなったり小さくなったりして困ります。 同じ程度の音量になるように、1曲ずつ調整しながら録音する必要があります。 第4にカセットテープは装置によって再生される速度が異なることがあることです。ホテルでパーティーを開いた時、自宅で作って持って行ったテープを会場に備え付けのカセットデッキにかけると、かなり遅く再生され、あわてて別の装置を探し回ったことがあります。 また、使い込んだカセットデッキはヘッドが汚れていたり、すり減っていたりして、 きれいな音が出ないことがあります。せっかくいい音楽を選んであってもこれでは台無しです。 このように、いい音楽CDが手に入っても、そのままでは満足できるパーティー音楽にはならないという重大なことに気がついたのです。 ああ、これがオーディオ設備をあれこれ探しては買い集めるきっかけになろうとは。 4.カセットテープからミニディスクへ輸入CDを集め、再生速度を変更できるCDプレーヤーを買い、カセットテープに編集してパーティー音楽集作りをしていましたが、時間をかけてやっとできあがったテープでも、完成した後になって途中で気に入らない部分が見つかった場合に手直しするのが大変でした。 テープからテープにダビングをしていくと、音質が低下していくので、どうしてもすべての曲をCDを使って録音し直すことになり、大変な労力が必要でした。ところがミニディスク(MD)が発売されて、状況は一変しました。 出来上がった音楽集の途中に気に入らないところがあれば、その曲だけを消去し、新たに録音し直して、曲の順番を入れ替えることが可能になったのです。 これはパーティー音楽集を作るのに絶大な威力を発揮します。 私はMDが出てきたとき、待ってましたとばかりに、MD付きのミニコンポーネントステレオを買ってしまいました。 この装置を使って、それまでに蓄積したノウハウを結集し、100枚を越えたCDコレクションから厳選した音楽を配列して、最高の音楽集といえるものを作成しました。 MDを使えば、音質も良いし、テープのように傷むこともないし、好きな曲に飛ぶこともできるし、しばらくの間は実に満ち足りた気分でした。 ところが・・・ ああ、このあたりで満足しておけばいいのに。 5.MDで感じ始めた不満カセットテープの不便さを解消してくれたMDのいったいどこが不満なの??? そうなんです。 MDそのものには何の不満も無いのです。 問題はMDを使える装置を持っている人がとても少ないことなんです。体育館や公民館のホールのようなパーティー会場にもMDの再生設備がほとんど無いのです。 CDやカセットに比べると、MDがついている装置は高いので、持っている人が少ないのです。ダンスの踊れるパブにもほとんど置いてありません。 だからMDに録音した音楽をパーティー会場で流すには装置持参で行き、会場の音響設備のアンプの入力端子につないでやらなくてはならないのです。 体育館の装置を使わせていただく時は、装置の裏を開けてケーブルを抜いて差し替えたりするので、会場の係の人に断られることもあります。 MDがもっともっと普及して欲しいものです。 ああ、自分でCDが作れたらなあ、なんて夢みたいなことを考えていたら、実際にできるようにパソコンが進化しました。6. ついにCD作成しばらくはMDで編集したマスター録音を自宅に保管し、別のMDやカセットテープにダビングしたものをパーティーやサークルの練習に使っていました。 ところが最近になってパーソナルコンピュータが急速に進化し、音楽CDを作成できるようになったという話を小耳にはさんだのです。 もしかしたらダンスパーティー用の音楽集をCDで作れるかもしれないという期待が胸の中でふくらんできました。 パソコンについては会社で報告書の作成に一太郎を使うくらいで、素人同然でしたが、1998年2月に思い切ってパソコンとCD-Rを買ってしまいました。 それから雑誌の特集を読みあさったり、会社のパソコン通の人に聞いたりして、音質の良いサウンドボードを入れ、メモリーとハードディスクを増強し、パソコンに取り込んだ音楽をデジタル編集するソフトを導入し、1年ほどが経過してようやく思い通りのCDが作れるようになりました。 1枚のCDに74分の録音ができますから、1曲平均2.5分として28曲も詰め込むことができます。 その後プリンターも進歩し、CDのラベルやジャケットも美しく印刷できるようになりました。ここに至って、ついに10年もの時間をかけて追い求めてきたものが現実の形となり、最高のダンスタイムを演出するパーティー用CDが完成しました。 これをパーティーで使っていると、何人かのお客さんから、今かけているCDは素敵な曲ばかりですね、何ていうCDですかと質問されます。 また、お世話になっているダンスの先生やダンス仲間にも使っていただいて喜ばれています。 これからもいい曲を集めて新しいのを作っていきたいと思います。7. その後 パーティー用のCDを作り始めて10年くらい過ぎ、市販のCDもどんどん集め、とうとう500枚になってしまいました。そこで、500枚の音楽データをパソコンに取り込み、mp3形式で保存し、家では、パソコンで音楽再生するようになりました。 音楽プレーヤーもmp3形式のファイルが再生できるものが増えてきています。 市販のCD500枚分のデータがDVDで6枚に収まってしまいます。 ブルーレイディスクなら1枚に入ります。機器の進化はすさまじいなあって思います。 |
メール |
トップ |