21世紀は連結経営・キャッシュフロー経営の時代といわれています。
「連結対応は財務会計のみ行えばよい」という古き良き時代は過ぎ、管理会計に本格的に取り組む時代が待ったなしにやってきます。
管理会計の連結では、実績は月次連結を求められるし、予算も予測も包含しなければんりません。又、原価計算の連結も俎上に上げる必要があります。
現代は変革の時代とも呼ばれています。連結情報もスピードが求められます。
月次連結も翌月の実働3日目の朝には、提供できないとまずいでしょう。
予測情報の価値が益々重要になり、高い精度が要求されます。
昨今のERPパッケージ導入ブームは、少し落ち着いてきましたが、基幹システムを統合する必要性は益々高まっています。
私はひと頃、複数のERPパッケージを評価するというコンサルティングをやっていましたが、どのパッケージのシステム全体図も、中心には一般会計システム(GL)がありました。
即ち、一般会計システムが各基幹システムを包括的して管理する基盤であるということです。情報というリソースを包括的に管理する為には、金額換算して集計せねばならず、それができるのは一般会計システムのみです。
このように、一般会計システムは情報の宝庫とも呼べますが、多くの会社で有効活用されていないのも現状です。
いくらシステムを統合しても、一般会計システムの情報が有効活用されていなければ、統合システムの真価は発揮できません。
「犬は飼い主に似る」と言いますが、システムもシステムのオーナーに似てきます。一般会計システムのオーナーは経理部門ですが、一般会計システムの情報が有効活用されるか否かは、経理部員の意識レベルに掛かっています。
経理部員が未だに「分厚い月次帳票をとっかえひっかえ見る」という旧態依然のやり方に固執すれば、時代に取り残されてしまいます。環境に優しいペーパーレスが時代の趨勢となり、システムもデータ検索し易いドリルダウン機能が充実してきました。
しかし、経理部員が帳票絶対主義からドリルダウン志向へ、単体思考から連結思考に切り替わっても、一般会計システムそのものが単体システムの寄せ集めであったり、本支店会計の名残を残していれば、ドリルダウンしてもその手間に値する情報は得られません。
管理会計の連結を推進していく為には、連結思考の一般会計システムが必要となるでしょう。
20世紀の典型的な経理マンは、「複式簿記は永遠に不滅だ」と言いながら、十年一日の如く仕事をするという受身のイメージが付きまとっていました。その仕事の中身も、経理本来の仕事の他に、営業・製造所のデータ不備のドブさらえが重要でした。その結果、営業・製造所に「経理側のデータ加工が入っている為、数字がよく分からん」という言い訳を許し、代わって社長報告した経理が、社長から怒鳴られるという悪循環に陥ります。
この負の連鎖を断ち切るには、経理マンが被害者意識を抜け出し、自己改革に邁進し、武器を持って戦っていかなければなりません。
かつての経理マンの武器は、抜く手も見せずに電卓をたたけることでしたが、今日そんなスキルに恐れ入る人は誰もいません。もっと、ナレッジ的なものでないと、誰も一目を置きません。
現代の経理マンの武器は、全社予算の編成能力・仕訳の背後にある取引実態洞察力・予算実績分析を通じての異常値発見能力ではないでしょうか。
私は、コンサルティングファームのコンサルタントとして多くの会社を見てきましたが、一人で三つの能力を身に付けている人材は上場会社でも数人でした。その方々は、社長の片腕として多忙を極め、後継ぎがいないというのが現状です。
今、社内分社化や会社分割が急速に進み、カンパニ プレジデントや子会社の社長は量産されていますが、情報管理を託す片腕が払底しています。
この武器を手にすれば、経理は業務代行や便利屋の地位から脱却し、情報コントローラーとして全社の観点から要所を締めることになります。その結果、経理データ入力に関する各部門の自立を促し、「データ発生部署でデータを完結させる」というデータ管理本来の姿に戻せます。
更に、この三つの能力は親会社の経理マンが子会社の要所を締める場合にも必要です。親会社の経理マンが「子会社のことは子会社に聞いてくれ。自分は連結消去しか分からない。」というのでは、何の為に月次連結するか分かりません。連結は連結することが目的ではなく、連結された情報から問題点や兆候を読み取ることが目的です。
これを機会に、連結を縦横無尽に使いこなして、マネジメントのディシジョンを支援していただけると本望です。
「ナレッジマネージメント」「データウェアハウス」「多次元解析ツール」など目新しい言葉が飛び交い、情報の有用活用がやかましく言われています。
しかし、現代は情報過多な時代でもあります。
情報を有用活用する第一歩は、活用方法を考えることではなく、ムダな情報を減らすことではないでしょうか。
10万件のデータの中に、有用な情報が1%しかなければ、探し出すのに工数を使い切り、有用活用など夢のまた夢になってしまいます。
月次連結やカンパニ制やキャッシュフローという新しい仕組みを導入するに当たっては、データのスリム化を図る必要があります。
以上のように、管理会計の連結の仕組みは、実績・予算・予測に一貫して適用できる理論とスピードアップ・データ分析・データのスリム化の知恵を併せ持たなければなりません。
その為には、「精巧なおもちゃ」のような机上の理論ではなく、シンプルで骨太な理論が必須となります。そうでなければ、実務で使えません。
管理会計ですから、公式なルールは何もありません。何でもありの世界です。各社が自社に適した仕組みを考案し、社内の合意を形成すればよいのです。
順次、私案を公表しますので、意見交換をして、実務で本当に役立つ理論を作っていきましょう。
財務会計の解説書は巷に氾濫していますが、それらとは一線を画する内容にしたいと思います。
このホームページでは、管理会計の連結の仕組みを簡単に理解できるように解説しています。
基本的な内容からかなり難しい内容まで網羅していくことになりますが、図解や表を多用し、色使いで工夫していきます。