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担当医:福原郁子
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博士論文:
片側性唇顎口蓋裂患児の新生児から7歳までの顎発育
-Hotz床2段階手術例と正常児の比較-
○福原信玄 大橋 靖
Growth of Maxilla in Patients with Unilateral Cleft Lip and Palate from Newborn to 7 Years of Age-Comparaed with Two-stage Palatoplasty with Hotz Plate Cases And Non-cleft Control group-
○Shingen FUKUHARA, Yasushi OHASH
Abstract
The maxillary growth and the shape of the alveolar ridge in patients with unilateral cleft lip and palate from newborn to seven years of age following two-stage palatoplasty combined with the use of Hotz plate were studied.
The subjects consisted of 36 unilateral cleft lip and palate patients(UCLP group).
Serial maxillary casts were used for the analysis and comparision with non-cleft control group. The results were as follows:
1.Significant anterior and anterolateral growth of minor segment than large segment of maxilla were observed from newborn to two years of age.
2.At the time of 2 years of age ,maxillary alveolar arches came into parabolic shape duo to the anterolateral growth of large and minor segments by growth guidance of Hotz plate.
3.From 2 to 7 years old, the large segment of maxilla grew anterior and anterolateral, and also the development of minor segment was the same as the control group.
4.No statistical differences were disclosed in all the widths of maxilla between UCLP group and control group from 2 to 7 years old.
5.The morphology of maxillary alveolar arches in the UCLP group were parabolic shape, and that were the same as the control group from the deciduous dentition to the early stage of mixed dentition.
It is concluded that two-stage palatoplasty combined with the use of Hotz plate is effective for maxillary growth in unilateral cleft lip and palate patients.
論文摘要
近年,口唇口蓋裂治療において,顎発育の重要性が認識されるようになってきた。当教室では昭和58年から,口唇裂口蓋裂患児の治療として,出生後早期にHotz床を装着,哺乳障害の改善を図るとともに,顎発育誘導を行い,6か月で口唇形成術を施行し,口蓋形成手術は1歳6か月で軟口蓋のみ形成し,6歳時に硬口蓋の破裂を閉鎖する2段階口蓋形成手術により治療する体系であった。
今回,この治療体系で治療を行った片側唇顎口蓋裂患児の経年的顎発育について,検討することを目的に,歯槽模型計測を行い,同年齢の正常児と比較し,若干の知見を得たので報告する。
研究対象は1983年5月から1993年12月までの10年8か月間に,当教室で,出生後早期から管理、治療を行った片側唇顎口蓋裂(以下UCLP群)一次症例86名中,1994年12月までに満6歳7か月以上に達し,硬口蓋閉鎖手術を終了した36名である。
対象36名の初診時の平均年齢は生後20.5日,Hotz床装着開始年齢は平均生後24.2日であった。口唇形成手術はCronin法により平均6.5か月に,軟口蓋形成術はPerkoによるWidmaier変法を用い,平均18.6か月に施行した。硬口蓋閉鎖時の年齢は平均6歳0か月であった。
検討資料は,初診時、および1歳から7歳まで毎年誕生日前後1か月以内採取した上顎歯槽模型214個である。
対照は親の了解を得た保育園児,小学校児童とし,平均的な身長、体重を有し,異常咬合,多発性う蝕のない2歳から7歳までの正常児各15名の顎模型である。これらの正常児(以下正常群)の模型採取は筆頭著者自身で行った。
研究方法:1.計測方法について,上顎歯槽模型を教室の神成の方法に準じて,左右上顎結節点(T,T')と切歯乳頭点Aの3点を含む平面を基準平面とし,定規を基準平面と同じ高さに固定し,同一写真内に撮影した。撮影された定規と実物の定規が等長となるように,白黒引伸用印画紙に焼き付けして,等倍の規格写真を作成した。
写真上に,切歯乳頭頂点A,無歯顎期ではlateral sulcus,有歯顎期は乳犬歯尖頭C,C',第1乳臼歯頬側咬頭頂D,D',第2乳臼歯頬側咬頭頂E,E'を印記し,左右上顎結節点を結ぶ直線T,T'を基準線とし,各segmentの前後径A-TT',C-TT',C'-TT',幅径C-C',D-D',E-E',T-T',および外側方発育を示すC-T',C'-Tを計測した。
UCLP群と正常群の平均値の差の検定には,t検定を用いた。なお,UCLP群では,初診から2歳まで,各計測時期における計測値の差のt検定も行った。
2.歯列弓形態の計測方法は,両側上顎結節点(T-T')を結んだX軸と切歯乳頭Aからの垂線Y軸を設定し,長さの計測に用いた歯の指標のx,y値を計測し,各年齢群における平均を求め,方眼紙上に描記し,各点を連結したものを各年台の歯列弓とし,UCLP群と正常群を基準線をもとに,重ねあわせ比較した。
研究結果:
1.初診から2歳までの上顎歯槽模型計測の結果,large segmentより,minor segmentの前方,外側方への発育が著明であった。
2.初診から2歳まで,large segment,minor segmentの前方,外側方への発育によって,歯槽弓形態は良好な放物線状を呈し,Hotz床による顎発育誘導の効果が明らかに認められた。
3.2歳から7歳までの正常群との比較において,large segmentは前方,外側方への良好な発育を示し,また,minor segmentの発育経過もUCLP群と正常群との間に差を認めなかった。
4.全ての歯列弓幅径において,UCLP群と正常群との間に差を認めなかった。
5.UCLP群の2歳から7歳までの各年台における歯列弓形態は正常群と大きさ,形ともに同様で,良好な放物線形態を示していた。
以上の結果をまとめると,Hotz床装着2段階口蓋形成手術法は,minor segmentの前外方への発育においてのみ,正常児との間に有意差を認めるが,他は正常児との間に差がなく,しかも,minor segmentの発育経過は正常児との間に差がないことも確認され,顎発育を障害しない治療法であることが明らかであった。特に,Hotz床装着時の発育に経年的に有意の差があることから,本治療法におけるHotz床の併用の重要性が明らかで,出生早期からのHotz床併用による2段階口蓋形成手術法の有用性が再確認された。