虫歯の直接の原因は、歯垢ですが、根本的な原因は、虫歯の原因となる細菌の近親者からの感染なのです。つまり、一般的には、お母さんの口の中に住み着いている虫歯の原因菌が、唾液などを介して、子供に移り、そして住み着いてしまうことによって虫歯が生じるのです。生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、虫歯や、歯周病の原因となる細菌はいませんから。
子供の虫歯予防の第一歩は、お母さんが妊娠したときから始まります。お母さんは、妊娠中に、できるだけ口の中から、虫歯の原因菌の量を減らすことに勤めましょう。つまり、虫歯を治療する。歯の磨き方を少しでもうまくなって、歯垢を減らす。歯科医院で、歯の表面を徹底的に磨き上げる(professional
tooth cleaning)を行う。
次に、赤ちゃんが産まれたら、口移しで食べ物を与えないようにしましょう。
歯科材料でメス化する?そんなばかな!
狭い意味での環境ホルモンというのは、生物の体に取り入れられると、あたかも女性ホルモンと同じような働きをする物質のことです。良く知られているものでは、ダイオキシン、DDT、PCB、ビスフェノールAなどがあります。
一時、歯科で使われる合成樹脂(レジン)から出たビスフェノールAが、人体に悪影響を与えるとの報道がなされました。 しかし、ここで誤解を解くために説明します。
ビスフェノールAはレジンを作る時の材料でありますが、一旦レジンになりますと、人体に用いた場合、ビスフェノールAは溶け出しもしませんし、ビスフェノールAに分解することもありません。
ですから、歯科で使われているレジンは、環境ホルモンの観点から言うと全く安全な物質です。安心して治療を受けてください。いらぬ心配御無用。
神経が腐ってしまっているようなひどい虫歯が何本もあったり、、ひどい歯周炎(歯槽膿漏)になっているような口の中には、毒素を出す細菌が非常にたくさんすんでいます。これらの毒素が、口の中から血液に混ざり、とんでもないところでアレルギーを起こし、一見、歯とは無関係のような病気を起こします。
1)腎炎
腎臓の糸球体(血液をろ過しておしっこを作るところ)に毒素が引っかかってアレルギー反応を起こすと、腎炎になります。
2)関節炎
関節の中に毒素が入りアレルギーを起こすと関節炎になります。
3)アトピー性皮膚炎、ゼンソク
口の中の細菌の毒素との関係はまだ定かではありませんが、虫歯で口の中がひどかった子供をしっかり治療し、歯の磨き方も上手くなったところ、アトピーやゼンソクが治った、または軽くなったとの報告があります。
このような病気のある人、もう一度口の中をチェックしてはいかが。
歯周炎、虫歯で、命を落とす
口の中にはたくさんの種類の細菌がすんでいます。特に、口の中が汚い人はその数が多く、1兆個にもなるともいわれています。
また、歯周炎(歯槽膿漏)がひどい人や、虫歯が進んで、神経が腐って、根の先に膿が溜まっているような人は、恐ろしいことに、頻繁にかなりの細菌が口の中から血管の中に入りこみ、全身を回っています。普通の健康な人であれば、血液に入った細菌は、白血球などにやっつけられて、一時的に菌血症に終わり、なんのトラブルも起きません。
しかし抵抗力の弱っている人(糖尿病、エイズ、高齢者、重い腎臓病など)は、血管に入った細菌をやっつけることができず、敗血症となり、死に至る場合もあります。
たかが歯周炎、たかが虫歯と言えども、場合によっては命取りになります。
え、うそ。糖で虫歯を予防できる。そんなばかな!
キシリトールとは糖の一種で、白樺などの樹木から取れる成分を原料に主にフィンランドで作られています。キシリトールは果物の中にも存在し、いちご100g中362mg含まれています。
特長
1)歯垢の中で酸をまったく作らない。
2)虫歯の原因菌ミュータンス菌の働きを押さえ虫歯抑制効果がある。
3)甘みはしょ糖とほとんど変わらず、爽やかな冷涼感がある。
4)カロリーはしょ糖の75%
キシリトールは上のような特長があるため、ガムなどに甘味料として使い、甘いガムを噛みながら虫歯を防ぐという、一石二鳥の働きをします。
虫歯を抑制するキシリトールの摂取の仕方。
1日3回毎食後甘味料として100%キシリトールを使用したガムを5から10分良く噛む。虫歯のできやすい人は、間食後や眠る前にもガムを噛む。これを2週間から1ヶ月続けると効果が出てくる。
甘いガムを噛んで虫歯予防ができるとは、夢のようなほんとの話。
でも、歯磨きが基本、ブラッシングを忘れずに。
安定期にはおおむね大丈夫。
妊娠中に歯が痛くなって、歯医者さんにかからなくてはならなくなって困ってしまう場合、歯の治療がおなかの赤ちゃんに影響がないのか、心配している方もいらっしゃると思います。
1)妊娠中歯科治療が安全といわれている時期
教科書的には、妊娠中毒症などの合併症がない普通の場合、大体妊娠5ヶ月から8ヶ月の間が安全であろうといわれています。妊娠がわかってはじめのころや、出産間近な場合には、産科の先生や助産婦さんに相談してみましょう。
2)麻酔の注射は大丈夫?
普通の歯科治療で使う量(2ml前後)であれば、おなかの赤ちゃんにはまったく問題ありません。安心です。
3)歯のレントゲンは大丈夫?
歯の小さなフイルムのレントゲン写真でしたら、数枚ぐらいまったく問題ありません。特にこのごろは、鉛のエプロンなどのして撮影してますので、奇形ができるとはおもえません。
4)歯科で出すお薬は大丈夫?
歯科で出すお薬は、大体、化膿止め(抗生物質)、痛み止め(鎮痛剤)、炎症止め(抗炎症剤)の3種類です。
抗生物質に関しては、ペニシリンアレルギーがないのであればペニシリン系の薬はおなかの赤ちゃんには一番安全な薬といわれています。これが第1選択。
鎮痛剤、抗炎症剤は妊婦に対して安全性が確立していないものが多いので、飲むことによる赤ちゃんへの危険性と、飲まないことによっての赤ちゃんへの危険性を天秤にかけて、決めてください。つまり、痛みや炎症の程度によりますので、歯医者さんや、産科の先生に相談し、飲んでください。
妊娠中はつわりなどで歯を磨くことがおっくうになったり、唾液が酸性に傾きやすく、虫歯や歯肉炎になりやすい時期です。日ごろから歯ブラシによるお手入れを大切に。
たかが歯ブラシ、されど歯ブラシ
虫歯と、歯周病(昔は歯槽膿漏って言ってましたが)の原因は、簡単な話、歯にくっついている歯垢(”しこう”と読みます)が原因です。ですから歯を守るにはこの歯垢をとってやれば良いわけ。そしてこの歯垢をとる道具が歯ブラシです。
歯ブラシは道具だから、良いものをうまく使うことが大切。ここでは歯ブラシの良いものの選びかたを解説しましょう。
毛のついて部分がやや小さめで、毛は弾力があり、太くないもの。柄の部分はストレート。つまりオーソドックスな形が良い。毛のついている部分を裏から見て毛先がかなり見えてきたら交換時期。
市販のものは全体的に毛の部分が大き目で、柄の形もいろいろ工夫されているけれど、あまり意味がないように思います。あんな大きさでは一番奥の歯がまともに磨けません。ご注意を。
市販のものでは歯周病に適している一連のGUMシリーズが絶対お勧め。あとは、やや高価ですが、歯科医院においてある歯ブラシが良いです。
舌のガン「舌癌ーぜつがん」は口の中にできるガンの中では一番多いガンです。
原因) 喫煙、飲酒、尖った歯の鋭縁、合わない義歯などですが、未だはっきりしません。
症状) 始めのうちは症状はほとんどなく、少し大きくなってくるとしょっぱいものなどにしみてきます。大きくなってくると痛みが出てきます。またガンの周りが固くなって舌の動きがぎごちなくなってきます。
見た様子) いろいろな形がありますが、典型的なのは赤くはれている部分と白い部分が混じって表面が汚くなってきます。縁の部分は固くなってきます。 舌のわき腹にできることが多いようです。
よくできる年齢) 40歳代から急に多くなってきます。50歳代ピーク。私の勤めていた病院では28歳という患者さんもいました。
口内炎との見分けかた) 疲れている時や、風邪の治りぎわにできる舌の口内炎は長くとも2週間ぐらいで治ります。入れ歯があたっていてできる舌の口内炎は入れ歯を調整すれば治ります。 いずれにせよ、1ヵ月近くも治らない口内炎は、すべてガンではありませんが、歯科医師や耳鼻科の先生に見てもらいましょう。
治療方法)
口臭のもとは大きく分けて、口の中、胃、鼻の3個所で、口臭の80%は口の中が原因です。口の中の歯垢(簡単に言うと食べカス)が細菌によって分解されにおいを発します。又、歯周炎のひどい人は膿が臭うこともあります。
我が恩師 東京女子医大の口腔外科扇内教授はうまいことを言っています。「口臭は、口の中で生ごみが腐ったようなもの。」
口臭を防ぐにはまず、あなたに合った歯ブラシで、正しく歯を磨き(横浜市歯科医師会)、歯垢を取ってやることです。歯の磨き方がよくないといくら磨いてもだめ、歯科医師や、歯科衛生士に正しい磨きかたを教わりましょう。
中には、口臭が殆どないのに、自分は口臭があると思い込み、悩んでしまう自臭症という病気もあります。
口臭は正常な場合でもほんのわずか誰にでもあるものです。自臭症は口臭がほとんどないのに、自分は口臭がひどく、気になってしょうがない、人にいやがられている、などと悩んでしまう病気です。
このような人に限って口の中はきれいで、病的な口臭などない場合が多いようです。
ごく簡単なうつ病治療で治ってしまう場合がありますが、心療内科や、精神科で治療が必要な場合があります。
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