ドイツを代表するグループ、タンジェリン・ドリームの6枚目のアルバムです。
本国ドイツのオールレーベル時代から既に様々な音楽的実験を繰り返しながら、混沌とした唯一無二のサウンドを確立し、4枚のすさまじいアルバムを発表していましたが、イギリスのヴァージンに移った前作『PHAEDRA』から本格的にシンセサイザーを導入し、セールス面でも成功を収めました。その勢いのまま、エドガー・フローゼを中心にクリス・フランケ、ペーター・バウマンという鉄壁の布陣で発表されたこのアルバムは、様々な実験を経た結果としての彼らの創造する音世界の完成形と言えるでしょう。つまりそれまでの、ともすれば雰囲気だけの深遠なる世界だったものが、実態を伴ってきているのです。タイトルとなっているルビコン川の雄大な流れを思わせるシンセのうねりが圧倒的な迫力で迫ってきます。
でも、このあたりがある意味飽和点。彼らが機材に慣れ、機材もまた時代と共に進化していったことで、より輪郭のはっきりとしたサウンドを打ち出せるようになり、それに反比例しておもしろみは徐々に減退していった感がなきにしもあらず。
2005/12/29