THE PSYCHEDELIC FURS / FOREVER NOW

(1982)

 リチャードとティムのバトラー兄弟を中心に結成されたサイケデリック・ファーズの3rdアルバムです。
 このバンドの魅力は、まずデイヴィッド・ボウイのフォロワーと思しきヴォーカルのリチャード・バトラーの存在感でしょう。その中性的な美しさをたたえたルックスに惹きつけられてしまいます。眉間にしわを寄せ目を細めた悩ましい表情、吐息のような独特のかすれた声質、ほっそりとした体型を活かしたしなやかなアクション、すべてにいちいち卑怯臭いかっこ良さがあります。
 また、そういったリチャードのヴォーカリストとしての魅力はもちろん、バンド全体の力を引き出し、このアルバムを完成度の高いポップに仕上げたプロデューサーのトッド・ラングレンのセンスにも脱帽です。ボウイの「ASHES TO ASHES」を彷彿とさせるイントロで始まるシングル「LOVE MY WAY」がそこそこヒットしたのもトッドのおかげ。このバンドだけではこんなアレンジを施すことは不可能だったと思います。トッドのプロデュースした名盤は数々ありますが、これは出色のデキではないでしょうか。
 ただ理解できないのは、CD化に際して曲順が大幅に変わってしまったこと。アナログ盤では冒頭の「PRESIDENT GAS」でソリッドなギターのイントロからリチャードの第一声が出てきた瞬間、背筋がゾクッとしたものですが、CDでは表題曲から始まるため、そういった感覚が薄められてしまったように感じます。個人的にはかなり不満。

2003/12/13


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