RAY WILSON / CHANGE

(2003)

 フィル・コリンズ脱退後、ジェネシスの三代目ヴォーカリストとなったレイ・ウィルソンのソロアルバムです。前年にジェネシスのセルフカヴァー等を弾き語りでやったアコースティックライヴアルバムを出していますが、こちらが実質的な1stアルバムと言えるでしょう。
 バンドにとってヴォーカリストはリーダーであるなしに関わらずフロントマンとして重要な存在であることは言うまでもありませんが、そのヴォーカリストが脱退してソロに転向してしまうことが往々にしてあります。そこがバンドにとって運命の分かれ道。ジェネシスの場合、ピーター・ゲイブリエルの脱退は見事に乗り切りましたが、フィルの脱退後はうまくいきませんでした。残念ながらレイが参加した『CALLING ALL STATIONS』は作品自体のデキは悪くないのにセールス面では泣かず飛ばずで、その後バンドは解散。ちょうど、イエスにおけるトレヴァー・ホーンと同じような立場に立たされてしまいました。
 さて、そんな彼がこのアルバムで打ち出したシンガーソングライター然とした資質は、ジェネシス時代にもアコースティックな感覚を生かした「NOT ABOUT US」で既に実証済み。シングルカットされた「GOODBYE BABY BLUE」や‘ワールドネイチャーフェスティヴァル2003’のオフィシャルソングとなったタイトル曲など、ナチュラルなメロディが彼のハスキーな声質と相まって心に沁みる佳曲揃いです。
 全体を通してみると大分ジェネシスとは違った方向性となっているものの、一瞬でもジェネシスに在籍した彼の今後の活躍を影ながら応援しております。

2005/01/16


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