混声合唱組曲 海の詩(うた) 作詞 岩間 芳樹 作曲 広瀬 量平 海はなかった さびれた入江で 白い羽根を見つけた 陽炎(かげろう)にかざして渚を走る 夏の旅びとの髪飾り どの風待てば飛べるだろうか 海は 鳥たちの まばゆい記憶を 汚して消した 生きものの 自由なはばたきを 望んでいたはずだった だけど ひとすじの光さえ あの重い雲間に 見ることもなく かすかな足あとを 残しただけで 鳥たちは 眠る ふたりで浜辺に 砂の山を作った 日ざかりに揺れたつ羽根の墓標よ 夏の旅びとの髪飾り どの花添えて海をみようか