U.娘たちよ(西陣)

作詞 安水 稔和  作曲 多田 武彦

   杼(ヒ)がとぶ。
   筬(オサ)がはねる。
娘たちよ。
仕事はたのしいか。
   ----たのしい。   ----たのしい。
娘たちよ。
仕事はくるしいか。
   ----くるしい。    ----くるしい。
娘たちよ。
たのしいか。  くるしいか。
   ----たのしくて    ----くるしくて
      くるしい。        たのしい。

娘たちよ。
おぼえているか。
   ----なにを      ----格子の奥の
      おぼえるの。     暗い土間が
      なにを         わたしの腰を
      おぼえているの。  冷やしてしまった。
娘たちよ
知っているか。
   ----腕を組み     ----石のなかの
      歌をうたい。      鉄の機械が
      わたしはつくる。    わたしの腰を
      おもいをこめて。   凍らすだろう
   杼(ヒ)がとぶ。
   筬(オサ)がはねる。
娘たちよ。
仕事はたのしいか。
   ----たのしい。    ----たのしい。
娘たちよ。
仕事はくるしいか。
   ----くるしいが    ----背が痛む。
      くるしくない。      腰が痛む。
      くるしいが       目が痛む。
      くるしくない。      指が痛む。
娘たちよ。
たのしいか。
   ----んんんん     ----んんんん
娘たちよ。
たのしいか。
   ----んんんんん   ----んんんんん

<注>
答えの左側は若い娘たち。右側は年とった娘たち。
結尾の「んんんん」「んんんん」はたとえば「ヒがとぶ」
「オサがはねる」を心においてのハミング


混声合唱組曲
京 都

この曲はテンポが速くMIDIで十分表現出来ていないかもしれません。
特に「たのしい」「たのしい」と叫んだり、「くるしい」「くるしい」と呟く箇所は
人間の声が表現出来ないため、他の音色で表わしました。