心の四季 より
                   作詩 吉野 弘  作曲 高田 三郎


               風 が     

                   風が桜の花びらを散らす
                   春がそれだけ弱まってくる
                   ひとひらひとひら舞い落ちるたびに
                   ---人は 見えない時間に吹かれている

                   光が葡萄の丸い頬をみがく
                   夏がそれだけ輝きを増す
                   内に床しい味わいを湛え(たたえ)
                   ---人は 見えない時間にみがかれている

                   雨が銀杏の金の葉を落とす
                   秋がそれだけ透き通ってくる
                   うすいレースの糸を抜かれて
                   ---・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

                   雪がすべてを真白に包む
                   冬がそれだけ汚れやすくなる
                   汚れを包もうと また雪が降る
                   ---私は 見えない時間に包まれている