男声合唱組曲「東京景物詩」
作詩 北原 白秋  作曲 多田 武彦

あらせいとう


人知れず袖に涙のかかるとき、
かかるとき、
ついぞ見馴れぬよその子が
あらせいとうのたねを取る
丁度誰かの為(す)るやうに
ひとり泣いてはたねを取る
あかあかと空に夕日の消ゆるとき、
植物園に消ゆるとき。

    詩集「東京景物詩及其他」より